花の香り(2)


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GWの最終日、千葉県市川市にある庭の美しいギャラリーで開催されていた「星野道夫の旅」写真展を訪ね、星野直子さんのギャラリートークを聞いた。亡くなった星野さんの奥さんで、初めての対面。すぐ側にいらっしゃったこともあって、なぜかドキドキしながら、アラスカの話を聞いた。

清楚な話し方をする方で、アラスカの自然やそこに暮らす人々の話を聞いていると、星野が生きたその時代を今も受け継いで生きているように感じた。彼が亡くなってもう22年が経つ。でも彼女の心には星野道夫が生きている。生年月日が近いこともあって、振り返る都度、自分だけもうこんなに長生きをしていると思う。

彼の写真を見ていると、この一瞬のために、どれだけここで待っていたのだろうと想像し、その時間をしばし共有している。何十万頭のトナカイの大移動、空を染めるオーロラ、安心して戯れるシロクマの親子・・・待つという時間の在り方を幸せを私たちは、すっかり忘れてしまっているのではないか。

待つという時間の濃密な甘さ、そして安心感。待つという幸福な時間が、まだ私たちにあったあの頃・・・写真はそんなことを教えてくれる。星野直子さんにはいつか会えると思っていただけに、希望が一つ叶えてうれしかった。

ギャラリーを出るとき、上から降ってくるような甘い香りに気づいた。懐かしいニセアカシアの木に白い花がいくつかあった。
ここはいいギャラリーだなと思った。


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姿は良くないけれど初夏の甘い香りで存在をアッピール

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ピラカンサの白い花

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