空木岳(2)
朝日がシュールな雲をつくりあげた
狭い山小屋の中は薄暗く、玄関には夥しいレインウェアが掛けられていた。それをかき分けて中に入り、宿泊の手続きをする。小屋の中を見渡すと、食事する人、すでに寝袋の中で目を閉じている人、リュックから荷物を出している人など、皆さん八時消灯を意識しているようだ。
片隅に置かれているテーブルで、Tさんと簡単な夕食を摂る。あまりにも疲れ過ぎて、食事が喉を通らないので、缶ビールで流し込む。咀嚼はできるが、飲み込む力が失せていた。食べておかないと体力が回復しない。
食べ終わる頃、数人が泊めてくださいと入ってきた。もう寝るスペースはないのではないか・・・
階段を登って狭い二階に上がると、イワシの缶詰状態。つまり頭・足・頭・足・・・と寝袋がビッシリ並んでいる。頭を踏みつけないように、跨ぎながら自陣まで抜き足差し足で向かう。久々の体験だ。いつも感心するのは、これだけ宿泊者がいるのに、殆ど声が聞こえないこと。それぞれが気を使い、少しでも快適空間をつくろうと努力している。
明日の予定をTさんと相談してから、オフにしていたスマホを眺める。こんな狭いところでももう一つの社会と繋がる不思議。ニュース、LINEを見ていると、Tさんの寝袋から寝息が聞こえてきた。本人曰く、眠りの天才。どこでもいつでも眠れるそうだ。羨ましい。寝袋に潜り込み足を伸ばすと、Tさんの頭に触れた。仕方ないよね。八時ピッタリに灯が消された。
四時過ぎに起きると、皆さん外に出る準備をしている。日の出は五時半なのに、まあ早いこと。我々も厚着をして、暗闇に聳える空木岳山頂を目指す。夜空には、まだたくさんの星が残っている。眼下には雲海。白い荒野が彼方まで広がっている。またこんな景色に出会えた。
10分も登ると空木岳山頂。やりました〜、さあ後は、朝日だ。
小屋の向こうは雲海、その向こうに八ヶ岳連峰のシルエット
雲って生まれて育っていくんだ・・・
七年越しの空木岳山頂〜ハグ
南アルプスの主峰、北岳の背から朝日が現れた
北側に目をやると御嶽山
朝日が空木岳の山頂部を映しだした
20年以上も前、木曽駒ヶ岳に登ったときも雨だった・・・
2018年9月26日 13:15 | カテゴリー: 歩キ眼デス3
コメント
こんにちは、
今回は空木岳に挑戦されたのですね。
百名山登頂も米寿の数になりましたね。凄いと思います。
雲海の素晴らしさ朝日の神々しさ・・・・・
実際に眼にした人でなければ味わえない絶景ですね。
どれほど科学が進歩しても、自然を破壊することはあっても、この絶景を造りだすことは出来ませんから、人の心を魅了するのでしょうね。
ご無事のお帰り何よりです。ゆっくり体を休めてください。
A)
こんにちは。
言われて気がつきました。88座・・・
米寿と思えば、感慨が深まります。
若い頃のように無理が効かなくなり、これからは日程を緩めにしていきます。
雲海を見下ろすと疲れが吹き飛びます。
体力あっての幸せを感じます。
これを見たくて、頑張れる・・・・そんな景色や樹や花に出会う度に、幸せな気分です。
今年は、小さな山歩きを残して、体力アップに日々怠らないように。。
いつもありがとうございます。
2018年10月 6日 11:57 | tama
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