北斎VS廣重(3) 


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三十六景のいくつかにキュンとする風景画がある。この蒲原がその一つ。子供の頃、記念切手の収集が流行り、発売日には朝早くから郵便局に並んで「蒲原」を手にした。買った切手はセロハンで包み、切手帳に収めた。浮世絵、富嶽三十六景、オリンピック競技、天然記念物などのシリーズは毎月のように発行され、江戸時代に浮世絵を手にした大人と変わらない面持ちで眺めていた。

蒲原の宿は、雪の多い地域だったのか。番傘の人物は、雪が積もらないように蕾めてさし、雪下駄を履いている。深々と雪の降るモノトーンの寂しい景色のなかに、人物三人だけに彩色しているのは、自然と人の関係性を伝えようとしているのか。シリーズの中では好きな一枚だ。


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そしてもう一枚は、藍色だけでまとめたこの作品「甲州石班澤」。この字を「かじかざわ」とは読めない。石班(ウグイ)と読むべきをカジカと間違えたという説がある。

藍色の美しさに息をのむ。富士の前にたなびく霧、勢いよく流れる川を背景に、立ち姿の川漁師をまん中に据えて、静と動、面と線で上手く表現している。富士の裾野と漁師の網のライン、波と岩の方向性など、全てを計算したセンスに脱帽だ。


コメント

アルキメデスさまの、隅々まで深く繊細なご説明のお話に、感銘を受けております。
とっても観たくなりました!
まことにありがとうございます。

A)
ぜひご覧になってください。
初台のオペラシティで、木曜日から日曜日が開場日程です。
いろんな発見と驚きが、待っていると思います。


2022年2月17日 02:00 | ゆみゆみ

寒い昨日、行ってまいりました!
『素敵に載せてくださった、沢山の繊細な作品を今、観れているなんて♪ いつでも観たい富士山がいくつも。
ルーペもセットされていて、、大好きな印象派モネ、ゴッホも!』
笑顔と、どきどきの感動のまま帰りの電車に…

教えてくださり、まことにありがとうございました。
(もう一度みたいかも…です)

A)
それはそれは、紹介した甲斐がありました。
素晴らしい企画展ですよね。
デジタルの大きな力を感じました。

今までの作品世界から、江戸の庶民の暮らしが
すぐ近くに惹き寄せられた感じでした。

繊細な手仕事に感動しつつ、感性の豊かさにも驚きました。
私たちが忘れていった世界がそこにありました。

2022年2月19日 15:16 | ゆみゆみ

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