ポポー


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身延山の帰り道は、やがて七面山に続く石畳の道となり、谷間の赤沢宿という集落に辿り着いた。山の勾配に20軒ほどの木造家屋が連なり、まるで映画のセットのような佇まい。疲れきったからだが、息を吹き返す。

古い木造家屋の休憩所に入るやいなや、アイスクリームはありますか?と訊ねた。三角巾をした、女性がゆっくりと答えた。「ありますよ、よかったですね〜」。

メニューを見て「このポポーアイス、本体は見られますか」と訊ねる。

じつは、ポポーという果物があることは知っていた。ネットには、瓜のようなカタチをした果物で、マンゴーのような味と香りのする果物とあり、見つけたら、必ず手に入れようと思っていたのだ。

女性は、それが全部アイスに入れて、今はないという。ザンネン、アイスで食べよう。冷え冷えの陶器に入って、それはやってきた。・・・一口・・・バナナのようなトロピカルフルーツのような美味しさにカラダが固まる。

暑い中を歩いてきてよかった。こんな遠くまで来てよかった。このポポーの美味さで、全てが霧散した。通り抜ける風と初めて口にした幻のフルーツに、しばしの涼を楽しんで、旅の出会いに感謝した。

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