もう一つの時間


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道東で出会ったあの仔リスは、無事冬眠しただろうか


先日のテレビ放送・ワイルドライフ「星野道夫が見たトナカイ大集結!」をじっと見ていた。星野の言葉を一言も聞き漏らすまいと。

彼とは同い歳。亡くなってからもう27年が経った。アラスカにフィールドを持ち、ある時、トナカイの大移動を追っていた。

一ヵ月間をアラスカの山中で人と遭うことなく、たった一人でキャンプをして、トナカイの群れを待つという途方もない時間。それを尋ねると

「けっこう忙しいんです。見るものが多くあって、あっという間に時間が過ぎていくんです」。悠久の営みを続けるアラスカの大自然、自分もその一つの存在であろうとしたからか、それが出来る人だったからか、アラスカの大地と刻まれていく時間は、彼を伝道者にしていった。

何万年も続いてきた北極圏のトナカイの大移動、群れのなかで過ごした奇跡の一日は、彼の歩むべき人生の大きな杭となった。

「もう一つの時間をもつ」という想像する力の意味と意義。人は、小さな一つであることを忘れてはいけない。もう一つの時間を持つことは、人生を豊かにすると教えてくれる。

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