吟行歌会(夏)


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この暑い中、吟行するのは危険。ということで夏は、涼しい美術館や博物館で展示作品を眺めて、歌を詠むことにしている。先週末、東京都写真美術館に集合し「時間旅行」と「にっぽんの里山」という企画展を鑑賞した。

それぞれ「空間」「時間」ということで、頭を整理して二首を詠まなければならない。「時間旅行」からおもしろい歌がいくつか詠まれた。

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だぶついたブラウスに
長めのスカート
皆同じ制服にガスマスク
一番きれいな時の
女学生の行進

これは、Kさん(一席)の作品。誰もがこの前で足を止めたに違いない。この写真の怖さは、少女たちのガスマスクにもあるが、その背景にある禍々しさが、不気味でならないのである。何の為の行進か、なぜガスマスクなのか。1936年に撮られた写真だから、この後の東京大空襲で女学生の多くが亡くなったかもしれない。

茨木のり子の「わたしが一番きれいだったとき」を想起させた。作者は、女性の観点で詠まれた。前三行は、その不気味さを伝え、やり切れなさへと繫げている。

あまやかな
ピントが映しだす
その時代に
クッキリとした
日本人がいた

これは小生の歌。古い写真ほど、露出の関係でピンが緩くなる。いまほど難しい時代背景ではなかったからか、人々の表情は、どれもクッキリしているように感じた。

コメント

表紙はカタクリでしょうか、、今年は瑞穂町で見れました。
本日、東大和緑地に、さーっと車でヤマユリをみてきました。

女生徒の写真…驚きました。『本当に一番きれいな女性時代なのに』
恐る恐る調べてみまして、もっと驚いて、、
「戒厳令下の防空演習」「一人一個」を目指し増産。ただしガスマスク…
こんな時代があったなんて。
文章を読み進めて行くと、「アベノマスク」の名称も。
『戦争がない世界でいて』 です。

A)
いま時分、山ではササユリ、少し下ではヤマユリ、鹿の子百合・・・
山道にポツンと百合が咲いていると、ハッとします。

ガスマスクでどれくらい耐えられるのでしょう。
外すときの怖さがありますね。
日本でもそんな兵器を作っていたから、こんな防御も生まれたのでしょう。
なんかやりきれなくなります。


2024年7月10日 00:23 | ゆみゆみ

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