胡桃と柿


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朝方、雨は止んだけど空は低かった。気温の変動が大きい。

高尾山の麓の川原にサワグルミがいくつも落ちていた。足で緑色の実を潰すと、黒く染まったクルミが出てきた。やや細長く、鬼ぐるみのような硬さだ。
綺麗に洗って干しておいた。二つを掌の中に収めて動かすと、軽やかな懐かしい音がした。

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金槌で割ったり、壁にぶつけたりして、子供の頃はおやつ代わりに食べた。白い実は、僅かしか入っていない。しばらくは窓辺に飾っておこう。

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サワグルミのそばに、柿の木があった。まだ渋いと見えて、鳥たちのエサにはなっていない。
眺めていると、日本の秋の原風景ではないかと思った。

気分は秋色


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暑くもなく、それほどの寒さでもなく、曇空の広がる高尾山は、いくつかの花を見せてくれた。男性が三脚を立てて黄色い花を撮っている。なんでしょうね、と声をかければ「たぶん、ヤクシソウだと思います」。

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頭にメモをした。下山しても覚えているかな。歩道まで勢いよく伸びている。花に近づけば、この季節を待っていたかのように蕊を立てている。

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山頂のすぐ下、赤い実を付けている木があった。オオカメノキの実かなと眺めていたら、二人のご婦人がやって来て「ガマズミですね」と云った。食べられるんでしょうかねと、一つを口にした。

「いかがですか?」
野趣あふれる味、でしょうか・・・
「あら、素敵な表現ですね」
お二人は、手を伸ばして口に含んだ。
「あら、酸っぱいけど美味しい」

なにかシンパシーを感じて、詩歌の話をしたくなったが、我慢。

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白い花火のようなコウヤボウキ(高野箒)。高野山でこの木の枝で箒をつくったことから命名された。

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沢山見かけたシロヨメナ。キク科の花が多く咲いていた。

山では、色んな人と話ができる。虫、花、樹木、鳥と、ちょっとした話をするだけで、気分は秋色になっていく。こんな感じが好きなんだよなあ。


アサギマダラ


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コウヤボウキ(高野箒)には、蜜があるのだろうか。数少ない花を探して、アサギマダラの舞いは優雅ではない。南の島に渡らず、日本のどこかで越冬するのだろう。

翅は傷ついてはいない。写真を撮っていたら「あっ、アサギマダラ」と何人かが集まってきた。人気の蝶なのだ。すぐに花から離れたので、蜜がないのだろう。好きなヒヨドリソウ、フジバカマはもう散っている。

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高尾山では、犬と一緒に登る人が多い。しかし猫を連れての登山者は初めて。男性の肩に掴まって、山頂まで来たらしい。モモちゃんという雌。飼い主と話をした後、別れるときにハイタッチを繰り返していたら、最後は猫パンチをいただいた。