2013年6月

ベリー


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美味しそうでしょ。この前を通る度に、ゴックンです。もう熟してるんだから、早く摘み取りなさいよ〜。毎年そう思っているのに、ここの御仁は、鑑賞するのみ。ブラックベリーとブルーベリーが、どんどん食べ頃になっていきます。悔しいから、ここを通らなければ良いのに、つい、どうなっているのかと・・・気になるのです。


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標高2038メートル、宮沢賢治の愛した山です


明日から岩手山へ。これで東北の百名山はすべてが終って、一区切り。八甲田山、岩木山、八幡平、鳥海山、早池峰山、朝日岳、飯豊山、月山、蔵王山、吾妻山、安達太良山、磐梯山、会津駒ヶ岳、那須岳と、どの山もその姿が立ち上がり、懐かしく思い出されます。その他にも栗駒山、焼石岳、秋田駒ヶ岳、白神山など、東北の山は自然が豊かで懐が広い。




ヒルガオ


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雨の日は、撮りためていた花を探す・・・。花を失ったヤマブキの葉を伝って、昼の月のように、朧げにヒルガオが咲いている。私も初夏の花よと。ヒルガオは、主張しない雑草だ。繁殖力が強いのに、ナガミヒナゲシやランタナのような派手さがない。それでも増え過ぎるといつの間にか、取り払われて消えている。


カツラ


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カツラの葉からは、甘い香りが漂う


住民の反対を押し切って、マンションが一棟建った。都会では珍しいことではない。広いお屋敷の家主がいなくなると、そこは決まってマンションになるか、戸建ての家数軒に生まれ変わる。緑道に面した一画にマンションの話が持ち上がると、地域の人たちは、空き地に反対のノボリを立て、張り紙を貼った。それから三年の月日が流れ、工事が始まり、何事もなかったかのように大きなマンションが建った。
角に植えられたのが、このカツラの木だ。すでに10メートル以上ある。入居した人は、訪ねてくる友人らに言う。「角に大きなカツラの樹があるマンションよ」と。やがて成長したカツラはシンボルツリーとなって、このマンションの風景に溶け込んでいくのだろう。


ノウゼンカズラ(凌霄花)


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名前がすでに官能的なイメージだ。ひときわ派手なオレンジ色が、遠くからも目を引く。つるでどんどん伸びて、いろいろなモノにからみつく。「凌霄花」は漢名からで、「凌」は「しのぐ」、「霄」は「そら」の意味で、つるが木にまといつき、天空を凌ぐほど高く登るところから、この名がついたらしい。この花は開花期間が長く、いつまで咲き続けるの?と言いたくなる。その頃には百日紅が咲き始めて、キツい夏が訪れる。



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学名は、Campsis grandiflora。Campsis(カンプシス)は、ギリシャ語のKampsis(湾曲、曲がっている)が語源。 おしべの形が、曲がっているかららしい。


コボウズオトギリ(小坊主弟切)


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この花の名前がやっと分かった。「小坊主弟切」。花はビヨウヤナギに似ている。黄色い花が散ると、すぐ赤い実を付けるようだ。小坊主とは、この丸い実からきているのかもしれない。弟切だって凄い字だ。でもこれはオトギリソウのこと。調べると「この草を原料とした秘薬の秘密を漏らした弟を、兄が怒りのあまり斬り殺したという伝説からきている」という。まあそんな話を、この花と実は知ってか知らぬか、じつに明るく可愛い。


菖蒲


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雨をうけて、あやめやしょうぶやかきつばたが元気だ。それぞれ、どう違うのか?何度学んでも、違いが記憶から消えてゆく。きっとその原因の一つに「菖蒲」の字があるのだろう。「あやめ」でよし「しょうぶ」でもよし。なんじゃそれ、と言いたい。
漢字は同じでもアヤメとショウブは別物で、ショウブと花菖蒲も別物。それに杜若(カキツバタ)が加わって4つ巴になって、組んず解れつ・・・。
そこに、アイリスもやってくる・・・もうどうでもいいわい。


コンフリー


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この花の名が分からなかったので、権師匠に聞いた。コンフリー。懐かしい名前だ。ずいぶん昔、親父がどこぞからか仕入れてきたものの中にあったような・・・そうだ、意外なことを思い出した。「健康茶」。麦茶を煮詰めたような風味と味わいのあるお茶で、これも父がどこからか仕入れてきたものだった。子供たちもすっかりハマってしまって、長く我が家の愛飲するお茶となった。これも懐かしい〜・・・。

さてコンフリー、正しい名はヒレハリソウ(鰭玻璃草)。昭和40年代に健康食品として一時期大ブームとなったが、2004年にコンフリーを含む食品は、肝硬変又は肝不全及び肝臓癌を起こす例が海外で多数報告されているとして、販売禁止となった。しかし、すごい生い立ちだ。



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調べてみたらありました。40年の歴史とあります。
今度買って飲んでみようかな。


ネジバナ(捩花)


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不思議な縁を感じた。このネジバナは、先日の吟行歌会の会場である角川庭園の庭で見つけたものだ。ウィキペディアでネジバナを調べていると、『俳人でもある角川源義が「ねじ花をゆかしと思へ峡燕(かいつばめ)」と詠んでいる。』という一文があった。ということは、角川源三はこの庭に下りて、この花のご先祖を見て詠んでいた・・・。何という偶然だろう。別名、文字摺草(もじずりそう)」の名前もちょっと文学的で、歌会との縁を感じた。

この花を初めて見た時から心ひかれた。上へ上へと手を伸ばしていくような上昇志向。ねじれているようだけど、きりりとして、とても素直な感じ。そして可愛らしい。以前住んでいた家の庭にも初夏になると、ピョンピョン現れて花をつけたのだが、ある年から消えてしまった。それだけにたまに見つけると、懐かしさもあり、うれしくなる。


吟行歌会


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吟行歌会の土曜日、お天気がなんとかもって今回もライブな歌会になった。この日の善福寺公園は、人が少なかった。湿気の多い池の周りを歩くよりも、エアコンの効いた部屋で過ごす方が良いのだろうか。爽やかな初夏までは、ボート乗り場は順番待ちだったのに、いたって静かだ。池のほとりの紫陽花は、水を求めるようにやや傾げている。
歌人たちも池をじっくり観察。吟行ならではの歌がいくつも生まれた。


女が一人
ボートを漕いでいる
善福寺池
睡蓮の白を求めて
漕いでいる

いちにの よいしょと
鴨が飛び込む
木の葉がゆらり
枝も木もゆらり
水面の景色

雨上がり
傘を干すように
かわう
羽を広げて
陽を浴びる


シモツケソウ


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小さな淡紅色の粒が弾けているように咲いている。初夏の草原や湿原などに見られ、そのすらりとした姿の美しさから「高原の女王」の呼び名がある。梅雨空の下で濡れる花は、グリーンの葉と相まって華やかだ。
シモツケソウは、漢字で「下野草」。つまり、下野の国(今の栃木県)で最初に発見されて命名されたらしい。ばら科シモツケ属の落葉低木で、英名は「Japanese spiraea」と呼ばれている。


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こちらは葉の形から、シモツケだろうか


蜜月の仲



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本邦初!紫陽花のスカートの中に潜る



「梅雨と紫陽花は蜜月の仲」とAさんは、歌会でおっしゃったが、雨を受ける紫陽花を見ていると、その切ないような美しさに溜息がでてくる。鮮やかな青紫のグラデーション、打ち上げられた花火の煌めき、花飾りのような艶やかな装いなど、それぞれに華やかな個性がある。今年は早い梅雨入り宣言にも関わらず、雨がほとんど降らなかったので、多くの水を必要とする紫陽花を心配していた。でもこの雨で、うっとり、しっとり。紫陽花の滲みにも潤いが戻ってきた。



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睡蓮鉢


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事務所の前に「宮川」という由緒ある!?鰻屋がある。最近は、悲しいかな、縁がない。「鰻のニオイで 飯を食えというのか アベノミクス」という小生の気持ちを代弁するかのような川柳!?があったが、お昼になると、香ばしい匂いが流れてくる。まあ仕方がないと思いながら、ふと玄関の横を見ると、こんな涼しげな睡蓮鉢がひとつ。当然のようにメダカも泳いでいる。いいねえ〜と思っていたら、メダカが一言。
「鰻のニオイで、飯を喰うなんて、お前はまだメダカね」。


江ノ島


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若い頃、夏になると江ノ島の海で青春をしていた。週末、友人との約束は「海の家、クロンボの前で」。クロンボなんて懐かしい言葉だが、夏の終りには、みんな真っ黒になっていた。海が夕日で輝きはじめると、湘南の海を見おろせるコジャレタ店に寄って、必ずといっていいほどジンライムを頼んだ。わずかに残るサンオイルの匂いと青春の一瞬を濃縮したようなジンライムの香り。恋人はいなかったけど、夏の一日の終りを仲間たちと共有し、音楽や女の子の話に夢中だったなあ・・・


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そんなことを思っていたら、デッキで話をしていたオーナーらしき女性が、手づくりの料理を運んでくれた。コヒー一杯では申し訳ないと思いビールを頼むと、またいくつかをトッピングし、「出来たばかりのお店なんです」と言って置いていった。デッキにいる若者たちにもお礼を言って、サザンのBGMを聴きながら深く椅子に沈んで、思い出の続きを探しはじめた。



明月院


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紫陽花といえば、鎌倉の明月院!と、思った人が沢山いたらしく、北鎌倉駅辺りからもう人の列。「紫陽花=アジサイ寺=明月院」。だよなあ〜と思いながらも、吸い寄せられて入園料500円を支払う。ここへくるのは三回目。しっとりと境内を歩こうと思ったら、やはり平日が良いのかも。姫紫陽花ばかりだった庭に、カシワバアジサイやガクアジサイの種類が増えて、時の流れを感じさせる。周辺には、緑に溶け込んでいる素敵なお店も現れて、この時期、しっとりするにはヨロシオスエ。


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少し人が切れました


土のニオイ、花のニオイ


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寝っ転がると思い出もやってくる。クローバーを編んで、髪飾りを作っていた女の子、四葉を一心に探していた人、草野球のグラウドから聞こえてくる声、映画「ミスデイジー」・・・風に運ばれるニオイ、風に任せれば・・・しばし自分を忘れる。


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甘い香り


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誘うような甘いコロンの香りを漂わせて、密かに、秘めやかに、クチナシの花が咲いた。初夏、白い花が次々に咲いていくなか、トリは私よと、白鳥が舞い降りてきたかのような佇まいで浮かび上がる。そしてその香りと白色の美しさで、こちらの心を妖しく揺らす。


ツーショット


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これはエゴノキとヤマボウシのツーショット。二つの木の花が、顔を寄せ合うように咲いているなんて、なかなか見られない。俯きかげんのエゴノキと未来志向のヤマボウシは、どんな話をしているのだろうか。


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白い十字手裏剣をいっぱい付けたヤマボウシ


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甘い香りでミカドアゲハを誘う



ハコネウツギ(箱根空木)


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ハコネウツギは白い花で開花し、ゆっくりピンク、赤へと色を変えていく。一房にそれぞれの色が混在しているから、咲き始めの頃はじつに愛くるしく華やかだ。ハコネの名がついているが、箱根には自生していないらしい。葉が紫陽花に似ているので、雨の花のイメージだなあと思っていたら、近くで花をつけているヤマボウシもエゴノキも、じっと曇り空からの雨を待っているような佇まいがあった。この季節の花は、心なしかどれもシットリしているようだ。


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富士三景


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夜が明けてまだ間もない。鳥の鳴き声を聞きながら、クロバーの芝生を踏みしめて、お気に入りの場所に向かう。ベンチがぽつんと一つあるだけの、富士と対座できる絶好のロケーションだ。わずかの雪を山頂部につけた富士が、薄曇りの中で、両手を広げるように待っていた。ベンチに座ってから富士に挨拶をして、背筋を伸ばし、息を吸い、吐き出す。二三度繰り返す。そしてしばらくその山容の美しさに抱かれる。人生に辛いことがあったとしても、ここで座ってさえいれば、きっと心が軽くなるのではないかと思うほど、富士の姿はあまりにも優しい。


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朝に夕に、富士山を見ていた