2018年1月

井上井月(いのうえせいげつ)


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ドキュメントとフィクションによる映画「ほかいびと 伊那の井月(せいげつ)」を観終わってから気がついた。もしかしたら観たかった映画は「おだやかな革命」だったのではないか。

こんなことが数年に一度ある。対象がいつのまにか入れ替わってしまう症候群。カツ丼を食べようと出かけたはずなのに、いつの間にかカキフライ定食を口にしている。ハサミを探していたはずが、爪切りを見つけて爪を切っている・・・。

こんなときは、あまり考えずに流されてしまうのが良い。運命の神様はきっと、俳人「井上井月」の生涯を教えたかったのだ。井月の自由と孤独を演じた田中泯が良かったし、ナレーションの樹木希林の声が沁みた。随所に好きな南や中央アルプスの山々が映っていた。チラシには「芥川龍之介に見いだされ、山頭火に慕われ、つげ義春が漫画に描いた井月」とある。

「ポレポレ座」は、少数派の映画を上演してくれる地域自慢(俺自慢!?)の映画館だ。「ほかいびと」を観終わって出ると、多くの人が行列をつくっていた。次は「人生フルーツ」。アンコール上映がまだ続いていた。


横断歩道


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大通りからは雪が消えたが、陽の当たらない道には凍った雪が残っている。明後日からはまた雪の予報。どうなることやら。


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大きな交差点の横断歩道を見ると、白線が剥げていたり、黒ずんだりしている。歩道には、小指の先ほどの小石がいくつも散らばっている。チェーンを装着した車が、雪の二日間を走ったせいだ。

白線塗り直しのための臨時予算なんて捻出されないだろうから、しばらくは黒ずんだ白線を踏んで渡ることになる。どうも気になってしょうがない。


ふくら雀


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寒空の下、スズメたちが細い枝に数羽止まっていた。そっと近づいてズームで撮る。これ以上近づくと逃げてしまう。よく見ると、カメラ目線。警戒心は怠っていない。

それでも都会のスズメは、すっかり人になれたように思う。外で食事をしている時に足元までやって来ることがある。餌を与えていくとテーブルの上へ。何世代も都会で暮らし続けると、人との距離が縮まっていくようだ。


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こちらもカメラ目線・・・


国防色


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雪と灯りが美しかった飯田橋駅のライトアップ


昨晩は神楽坂で落語好き仲間と古今亭菊之丞の独演会を楽しんだ。演目は「七段目」と「たちぎれ線香」。七段目には、歌舞伎の女形(おやま)の所作がふんだんに出てくるのだが、あれほど粋で美しく見栄を切れる噺家はいないのではないかと思う。指先までじつに艶やかに動く。芝居かぶれの若旦那を演じる芸は、七段目を知らない客だって引きずり込んでしまった。

マクラで紹介された「軍歌バー」の話が面白かった。間違って入った福岡中洲の軍歌バー。客がコスプレで軍人になっていた。「驚いてママを探すと、国防色の軍服にモンペ姿。肩からは国防婦人会のたすき・・・ハイ〜」「未だにあるんですねえ」。

居酒屋で一杯やりながら大笑いした後、そういえば「国防色」ってどんな色だっただろう・・・昔、両親がよく「国防色」と口にしていた。帰宅してから深いモスグリーンだったかなとググってみれば、カーキ色。そうか、この色だ・・・。


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枯れても散らない


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ヤマアジサイがそのカタチを残して西日を浴びている。自然がつくったドライフラワーだ。高尾山に多く見られ、夏の頃からゆっくり咲き始め、開花期間がじつに長い。花の時期を終えても花(萼)を落とすことなくその姿を留めている。高度が上がるほど、開花時期が遅くなるようだ。

スケート


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冬だ、オリンピックだ、フィギアだと、女の子たちが氷の上をヨチヨチ滑っている。ヘルメット、グローブ、そして膝パッドを着けて、靴はスピード用ではなくフィギアタイプの靴。クルクルと回ることができる。みんな本田真凛ちゃんを目指しているのだろうか。

昔のスケートリンクは、雪の校庭を生徒たちが踏み固めてから、先生が少しずつ水を撒いて凍らせて造った。滑らかにするのには、大変な苦労があったと思う。何かにつけて、昔を懐かしむようになった。


大雪


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懐かしい音が外から聞こえてくる。チェーンをつけた車が新宿通りを走っているのだ。「懐かしい音だなあ〜」と言うと、Y君から「懐かしくはないでしょう」「僕らの時代は、スタッドレスですよ」と言われた。そうか、記憶は古いものが優先されるらしい。

冬、北国では聞こえてくるのは、チェーンをつけた車の走行音だった。遠くから聞こえて過ぎ去っていくその鈍い金属音で、降っている雪の量や質を想像できた。そして靴の底から響く音で、雪質や気温も分かった。

もうすっかり東京人になってしまった。わずか20センチほどの雪を「大雪」。その表現にも違和感がなくなった。この雪だるまと同じように、東京のポカポカに、北海道が融けてしまっている。


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高尾山


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高尾山のキャラクターはカラス天狗だ。天狗焼きに黒豆の粒餡が入っていた


今月二度目の高尾山だ。コースは前回と同じ一号路表参道コース。ORMACのメンバーとはロープウェー清滝駅前のムササビ像で集合だ。毎年一月は、参拝登山で筑波山、大山、御岳山と神社のある山を登ってきた。一号路は舗装されていて登りやすい。休憩を取りながら、オヤツを食べて、参拝をして、お守りなど買って、じつにのんびりした山登り。隊員の安全と健康を祈願して、真剣に手を合わせた。
頂上でゆっくりめのランチをしたら、もう一つの目的地に向って下山開始〜


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みんな素直にポーズをとってくれた

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この日犬と一緒の登山者が目立った

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キタサンブラックで!?

会津


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会津藩は我がルーツ。血には白虎隊の哀惜が沁みているらしく、ときどきフツフツと音をたてる。会津へ行くのなら雪の冬と決めていた。会津城へ向う。天守閣からの眺望は美しかった。こじんまりとした街が広がり、四方が雪山に囲まれていた。父方の遠戚がもしかしたらどこかに住んでいるのかもしれない。そう思って眺めていると、感慨深かった。歴史が変わっていれば、出生、運命が変わっていたのかもしれないのだ。


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広い武家屋敷の中を震えながら見学した

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会津若松といえば馬肉らしいが・・・


斎藤清美術館


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ここに座ってしばらく雪景色を見ていたかった


斎藤清美術館は只見線の会津柳津駅から徒歩約20分、只見川の河畔に建っている。数寄屋造りをイメージした建物で、館内はいたってシンプル。大きな展示室に約100点の版画が展示されていた。残念ながら会津の冬をイメージした作品は少なかったけれど、猫をモチーフにしたモダンな作品が目を引いた。

しっとりした土着性と都会的なセンスの対極。そして余計なものを削除し、残ったものに意味を託す。そんな思いを斎藤の作品から感じた。


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残った柿は鳥たちに啄まれているのだろうか


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「会津の冬」は今年の末に展示されるそうだ




版画家斎藤清


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版画家斎藤清の作品と出会ったのはもうずいぶん前のこと。作品の多くは「会津の冬」をテーマにしたものだった。赤い角巻きの女性が、雪のなかにポツンといた。どこかで観たような既視感。郷愁を誘うなにか。いつかゆっくりその作品を観ようと思っていたら、友人が会津に美術館があると教えてくれた。それもずいぶん前の話。
行こうと決めてアクセスを調べると、まあ何と遠いことか。


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美術館のある会津柳津駅まで、会津若松から只見線で一時間雪原を走る


谷中七福神めぐり


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吟行の谷中七福神めぐりコースは、時間の関係で「五福神」にショートカット(福禄寿と弁財天はごめんなさい)。五つのお寺詣りだけでなく、お洒落な酒器が並べられているお店に立ち寄ったり、富士山が見えなくなった富士見坂の上で日本人の景観への意識の低さを嘆いたり、懐かしいお菓子「シベリア」を公園で食べながらその言われを探ったり、黒田清輝美術館で作品を鑑賞して、お隣の子供図書館でランチするなど・・・谷中〜上野をよく歩きました。

上位三席の歌です。

上野桜木一丁目
石畳を這う影長く
六、七、八人
あれ 九人目が
福袋背負って・・・    (一席)Kさん


まるでラビリンス
七福神も迷い込んだ
不思議の谷中
片隅でふるえてたね
小さい木瓜の花      (二席)Kさん


八福人で歩く
谷中界隈
ご本尊から裸体まで
初春の七福神めぐりは
ありがたや ありがたや   (三席)山碧木


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五行歌漬け


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大黒天が祀られていた東叡山寛永寺護国院は、建立されてから400年


週末は五行歌漬けだった。一昨日は吟行歌会「谷中の七福神巡り」で、昨日は関東新年歌会。懇親会では司会と聞いていたので、これはほとんど呑めないと判断。吟行歌会後に大好きな居酒屋で痛飲。気がついたら二日酔い・・・というわけでフワフワした気分の一日を過ごした。その効果か、緊張もなく大役をなんとか果たせた。


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古いお店が突然現れて、街歩きが楽しくなる


吟行歌会は、今月の4日にロケハンをしていたので、迷路のような谷中の道をスイスイ案内できた。広い参道が延びていたり細い路地が現れたりと、谷中界隈は江戸時代から変わっていないのかもしれない。


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大きなヒマラヤ杉と小さなパン屋さん

懐かしいお菓子「シベリア」で盛り上がったり、歌を作ったり、冬の一日を楽しんだ。上位三作品は明日紹介。

ブログカウント2001


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この日の眺望は良く横浜のビル群が見えた


昨日、ブログがなかなかアップできないと思ったら、2000回を迎えて「歩キ眼デス2」が一杯になっていた。つまり今日が2001回目。思えば遠くに来たもんだ〜♬
新たな気持ちでスタートしよう。

今年の初登山は高尾山だった。天気予報は雨。なら人が少ないかもしれないとアルキメ予測をして出かけると、当り。これが高尾山!?外国人も少なくて、開放感のある山歩きを楽しめた。来週、そして来月も高尾山に登るのだけどコースを変えれば違う味わいが出るだろう。


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高尾山薬王院もガラガラだった



うつぼ


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ウツボに寄り添うのはウスニゴリ


過去、二度覗いて、満席だった店にやっと入れた。カウンターに七席しかないのだから、まあ仕方がない。徳島出身という元気なお姉さんにお酒はと聞くと、カウンターに一升瓶四本が並んだ。ではこれ、とニゴリをお願いする。しばらくすると、ぜひ食べてほしいとウツボの燻製が出た。

出しましたねえ・・・高知、徳島といえば、ウツボだよなあ。これ〜食べすぎると、元気になってしまいませんかと云いながら、ウツボの顔を想像しながら、ぽりぽりとやる。
どうでしょう・・・燻製だから腰はあるのだが、ウツボヒビク、といった強烈なインパクトはない。
なに? ウツボを外している。。


くえ


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と云われてもなあ・・・・

山の写真


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赤岳頂上山荘(2899m)と赤岳天望荘(2722m)が見える

正月、山の写真の整理をしていたら、ずいぶん前に登った八ヶ岳縦走時の写真が出てきた。お天気が安定した春先、硫黄岳から赤岳を目指していた。尾根を覆っていた雲が切れて赤岳山頂が見えた時、思わず声が上がった。夏山とはまったく違う神々しい姿。想像を超えていた。全てのモノコトが消えて、ただ眺めていた。


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谷中七福神


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ネットに書き込まれていたのは、正月はどのお寺も混んでいてお参りするのにかなり並ぶ、だった。やむなしと覚悟を決めて谷中へ行くと、そうでもない。北からコースと南からコースの巡礼者が道ですれ違う。同じ地図を手にしているのですぐ分かる。ミニお遍路さんになったみたいで、温かい気分だ。

上野の弁財天は、何度も行っているからパスをして、寄り道をしながら6つのお寺をお参りした。大黒天を祀っている護国寺は、歴史を感じる造りで京都のお寺を思わせた。これはなかなか良いコース。
来週の吟行の日、暖かならいいけど・・・


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見どころのあるコースになりそう


おめでとうございます


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このコマーシャル、なんか戌戌じゃないか。ソフトバンクの犬父さんにガツンとやられた。何をしたっていいじゃないか!この歳になったらいいじゃないか。正月から山の計画を立ててもいいじゃないか。呑み過ぎなければいいじゃないか。
誰も止めてはいません・・・