2023年9月

杜の歌(3)


憩える森を残したい


帰途の新宿通りを照らすように、月がすっかり丸くなって、南の空に浮かんでいた。今日は月齢14.1。なのに中秋の名月だという。明日が月齢15.1だから、より満月に近いと思うのだけど不思議。

丸い月は、未明のラグビー・サモア戦を白星に照らしてくれた。次のアルゼンチン戦に勝利すれば、決勝リーグ。楽しみに待ちたい。

昨日、作家の村上春樹さんが、早稲田大学大隈記念講堂で開かれたイベントで、約1000人の聴衆を前に、神宮外苑の再開発に反対の意を表明した。

「何が言いたいかというと、ずっと走っていた神宮外苑は僕にとっては大切な土地。今は再開発して古い木を1000本切るというので、僕としても再開発反対の声を出し続けたいと思っています。もし賛同してくださる方は支持してください」と話し、ほぼ満員の聴衆から大きな拍手を浴びた。

桑田佳祐氏が、外苑は僕の仕事場所。村上氏は、僕が走っている大切な土地。ひとり一人が自分の価値としての神宮外苑を見つめ「これ、なんか変」を感じたら、知って、反対の意を唱えることが大切なんだと分かってきた。神宮外苑は、コモン(社会の富、共有財産)であり、私たちの手で守るべきもの。

日々、おかしいの声が上がり始めている。次の世代に残していく者の責任として、この街を恥ずかしい街にしないためにも、同じような思いを持つ人たちと出会って、問題を共有し、警鐘を鳴らし続けていきたい。

ラグビー


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こんな歌を詠んだ。

胸の厚い男に
尻のデカイ大男に
俄然
タックルしたくなる
週末 試練のサモア戦

いよいよ明日未明、ラグビーワールドカップのサモア戦だ。両国の力は、ほぼ拮抗していると聞く。どんな展開になっていくのか、不安と期待が入り交じり、キックオフが待ち遠しい。

コロナが収束したのか、街には外国人旅行客が目立つようになってきた。そのなかにカラダの大きい男を見つけると、やおらタックルを掛けたくなる今日この頃。まあ弾き飛ばされてしまうのだろうが、心は熱い。

もう40年も前、雪の早明戦を見た時から、ラグビーに惹かれた。真冬のスクラム、男たちのカラダから湯気が上がっていた。雨が降ろうが、雪が降ろうが、ボールを繋いで相手陣へ攻め込む。そんな粗野なスポーツの魅力に取り憑かれた年の暮れだった。

なのにだ。屋根付きのラグビー場が神宮外苑に生まれようとしている。だれがそんな球場を望んだのだ。関係者だって驚いているらしい。

とこんな話をしたくない。早寝早起きして、娘からプレゼントされたボールか抱えて、魂を込めて応援しよう。

杜の歌(2)


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サザンオールスターズの「Relay〜杜の歌」の詩が、山の手線、中央線、総武線の17駅に貼り出されている。17の駅の歌をつなげると「杜の歌」になるという仕組みだ。信濃町、四谷駅で確認をした。

このアイデア、企画は、面白い。17駅で神宮外苑を囲っている。つまり杜の歌は、神宮外苑に向って歌われているのだ。こんなカタチで思いを主張できるんだと感心した。

であれば、都庁に繋がる通路に「緑化をすすめている世界の主な都市」の写真とスローガンの入ったポスターを貼るとか、小生の五行歌のポスターを貼るとか、できないだろうか。

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神宮外苑の開発、工事が進むと、イヤでも大量のCO2が13年間排出され続ける。13年の先の地球は、東京は大丈夫なのか?



斎藤幸平


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「明治神宮外苑と気候変動」をテーマにしたシンポジウムに斎藤幸平氏が登壇するというので、講演を聞きにいった。自分の考え、立ち位置、神宮外苑、気候変動の現状と将来、それを是正して行くための道筋、活動など、彼の持ち時間は少なかったけれど、通る声でテンポもよく、パネルに沿った分かりやすい内容で話がすすんだ。

政治家や資本家による資本主義活動に対して、市民による自治で地域社会を守り、創り上げていく。そのためにも個人の主張や一つひとつの活動が大切であるというものだった。

ベランダから見える神宮外苑の空に巨大なビルがいくつも建つ・・・。空だって皆のもののはずだ、と昨日の斎藤氏の言葉が忘れられない。

このユーチューブで、斎藤幸平氏の話が聞けます。



新宿御苑


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ラクウショウの気根、観音様にも見える

週末、すっかり涼しくなったので、新宿御苑をふらりと歩いてみた。前日の雨がすっかり収まったこともあり、大勢の人が来ていて、賑やかな御苑だった。

花は少なく、ようやく見つけたのは曼珠沙華とわずかな種類だけ。それでも久しぶりに森のなかを歩いて、気分が良くなった。


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ヤブミョウガの実が黒くなりはじめた

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ホトトスギスをようやく見つける

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一輪咲いていたノカンゾウ

曼珠沙華


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30度を切ると、こんなにも涼しいんだ・・・。朝、窓を開けると、空気に秋を感じました。のど元過ぎればといいますが、猛暑、地球沸騰なる言葉を、忘れてしまうのではと思ってしまいます。

山梨の酒蔵メーカーの庭に咲いていた曼珠沙華。そこにだけ陽が当たっていて、ポンと火花が飛んでいるようでした。

一つの茎から、6つの花、そこから放射線状に蕊が7本。数えれば42の蕊があるはず。どれが雌蕊なのかは分からないけれど。

お彼岸にあわせて、秋がやってきたのかな。


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この高度感はどうだろう。日向山の頂に立っていたら、八ヶ岳にかかっている大きな雲に、小さな雲の影が映り、カタチを変えながら流れてゆく。それを間近に、真横に見ていた。

こんな発見も山の楽しさの一つだ。

日向山(1660m)


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に隠れた八ヶ岳と広がる北杜市


天空にビーチがある、何じゃそりゃ?、ということで、ORMACメンバー4人と南アルプスの麓に聳える日向山を登った。久しぶりの往復6時間の山行、猛暑続きの運動不足には、堪えました。

ハイキングコースと表示されているが、急な登りとほぼ樹林帯の中を歩くので、景色が少なく、おまけにかなりの湿度、滴る汗が止まらない。

なかなか到着しない山頂に業を煮やし、思わず下りてくる登山者に「この山に山頂は、ありますか?」と聞いたりする始末。しかし、白い雲と青い空が近づいて、一気に画面が広がった。

全員が声を上げる。なななんと〜これは凄い、まさに天空のビーチだ。それまでの苦しみが霧散〜。みんなのテンションが上がった。

下りて来る誰もが「ガスっていて何も見えない」と言っていたのに、はるか遠くまでの眺望、そして誰もいない貸切状態〜、久しぶりの達成感と爽快感を味わいました。

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雲の向うには、甲斐駒ケ岳だ

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花崗岩とその白い砂で覆われる山頂

美味い


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北海道といえば、美味しいの産地。道北を旅すると田畑の広さと空の大きさに、なぜか安心してしまう。ここだけは、いつか来るだろう食糧危機とは無縁ではないかと思うからだ。

温暖化のせいなのか、品種改良の努力なのか、いつの間にか美味しい米が採れるようになった。一昔、道内米といえば、不味いの代名詞だったから、北海道の食事情が変ってきたようだ。

美味しかったものをいま振りかえると、一位は弟の畠で採れた枝豆が忘れられない。枝豆好きな私ではあるが、採れたてを直ぐに茹でると、旨さが違う。野趣溢れた甘みというか、口に運ぶ手が止まらなかった。
そして寅さん好きの弟は、他にも虎豆とともにさくら豆も一緒に育てていた(笑えた)。

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二位は、ニシンの切り込み。中学時代の友人、Tのお気に入りの居酒屋にあった一品。秋田のハタハタの飯寿司、鮭の飯寿しと共に、低温発酵で仕上がった魚の旨さは、呑み助を唸らせる。何度もため息ついて酒と共にいただいた。

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そして三位は、スープカレー。地元の人は、この美味さを知らない。バカにする者もいる。カレーの海に浮かぶ、大地の恵みを愛でながら、舌鼓を打つ。ワイルドだが、それぞれの味がそのまま楽しめるのがいい。

秋の風も吹きはじめた。買い物かごを持って、美味しいを探しにいこう。

風のガーデン


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富良野に行きたいと言う声を受けて、「風のガーデン」を訪れた。もう秋の様相の北海道、バラはほとんど終わり、見られる花は少なかったけれど、初秋の風と揺れる花々は、北の装いそのものだった。

ここを舞台にしたテレビドラマ、倉本聰脚本の「風のガーデン」はもう15年前。心の病を持つ少年が、なんと朝ドラ「らんまん」の主人公、神木隆之介だとを今回知った。花がとりもつ縁なのか、花の名前をスラスラと言っていた幼な顔の神木少年を思い出した。

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シュウメイギクが咲きはじめていた
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ホコガタハナガサ

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旭川動物園


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道北の旅の楽しみの一つは、旭川動物園だった。日本で一番北にある動物園で、動物たちの生き生きとした生態をユニークに観せる「行動展示」で有名になった。

例えばアザラシやペンギン、ホッキョクグマを水中から眺められる工夫は、動物たちの生態を間近に感じさせ、その迫力を十分に伝える。

好きな猫の種類のマヌルネコとしばしニラメッコしたり、水から顔の一部を出していたカバのひょうきんさに笑い、虎や狼を広い敷地に探しては、その大きさに驚いたりと、旭川動物園のさまざまな試みに納得の半日でした。


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杜の歌


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北海道から帰ってきました。土産話は沢山あるのですが、旅先で桑田佳祐が坂本龍一の想いを新曲「Relay〜杜の歌」に込めてリリースしたことに感動。詩を読んで、さらに瞼が熱くなりました。こんなことしてられない!という心持ちになり、しばらく落ち着かない状態に・・・。

夕食事に、旅の仲間の一人と神宮外苑の伐採に話が盛り上がってしまい、なにを食べているのか分からなくなるほど熱くなりました。こんな歌を詠んだことを話すと、こんどは小池都知事という人物批評へ。

であれば
党名を変えよ
デベロッパーファーストと
党のカラー 緑も
止めよ

そして今日の朝刊には、国際NGOイコモスが「ヘリテージアラート」を出して事業者に計画撤回を求めた。どんどん騒ぎを大きくして、アホな事業をなんとか食い止めたい。

北海道のお話は、来週に。

水の地域格差


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新潟の水不足は、農業に大きな影響を与えている。農家の方達の落胆ぶりを思うと胸が痛む。天気予報を見るたびに、新潟って雨が多いと思っていた。なのに干ばつと聞いて、これも気候変動の影響なのかと思う。当たり前が、少しずつ壊れてきている。

欲しい所には降らず、要らないと云う所にしつこく降り続ける。水の地域格差。これは世界的にその兆候が見られて、干ばつ地帯が広がっている。

いずれ、食糧危機が来るのだろうと想像する。それは、いつか。いや、もう始まっているのかもしれない。

*明日から、一週間、北海道です〜♬