恋の五行歌


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「愛は語れても。恋は無理だと思います」。公募「恋の五行歌」の選者を務めてほしいの依頼を受け、一度はそのように応えたのだが、酸いも甘いもかみ分けた山碧木さん・・・と口説かれて引き受けることになった。

1300余の応募の歌から絞られた153首に目を通すと、しばし時間を忘れて見入った。受けて良かった・・・以下、選んだ三首とコメントである。

こんなにも     
胸にたまった
花びらを
散らせることも
できない恋だ

この歌の前で、いくども心掴まれている。想いは花びらのひとつ一つとなり、胸を埋め尽くしていく。散らすことができれば、楽であろうに。けれど散らすこともできないのが恋。そんな切ない直球を投げ込まれてしまった。

あなたの匂いが   
消えるまで
風に
吹かれて
生きると決めた

あなたに焦がれた胸の裡も、間違って焦がした鍋も、風に晒してニオイが消えるのを待つしかない。いまの時代、ニオイは御法度だから、無味無臭の恋ならすぐに次は来るかもしれない。因みに筆者は約五年、風の中にいた。

やっつけるために
朝待ち伏せしていたと
自分さえ
本気で思っていた
黙して卒業

グサッと入ってきた。まるで喧嘩に向っていくときの決意!?。対象は彼女であるはず、なのにやっつけるのは、意志の弱い私のようでもある。恋は盲目。もう一人の私が突っ走っていたあの頃。待ち伏せは空フリしたのか。


総評
「甘く、切なく、苦しい」恋の三つの魔法にかけられた歌を読んでいると、懐かしい風がいくども吹いた。多くが過去形あるいは過去進行形の歌である。恋は振り返ってこそ味わいが深まるのであれば、公募のテーマには相応しいのかもしれない。そんな中、現在進行形の歌が現れると、瑞々しさに思わずエールを送っていた。「恋は遠い日の花火ではない」というCMのコピーもあった。よし、次回は投稿する側になろうと思わず立ち上がった。

コメント

この「ねじ花」をじーっとみていましたら、
恋の花に見えてきました⭐︎

A)
この花の姿、恋の喩えに詠んだ歌がありました。
百人一首や万葉集にも登場しているそうですが
見つけると、ちょっとドキドキします。

2025年6月 9日 13:38 | ゆみゆみ

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