松本民芸館


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いつかいつかと思っているうちに、時間はずいぶん経ってしまう。登山中心にいつも予定を組んでいたので、松本の街外れにある小さな民芸館を隅に追いやったままになっていた。

雑木林の中に佇むナマコ壁の蔵造りの建物が、癒しの空間を創りだしていた。工芸作家であり蒐集家である丸山太郎氏が、名もなき職人の手仕事の日常品と土地・建物を松本市に寄付したことでこの民芸館は誕生した。

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柳宗悦の提唱した民芸運動に共鳴した人で、そのコレクションは6800点にも及ぶ。箪笥や陶芸品、染織物など日本全土だけでなくアジア周辺の品も展示されている。

丸山氏の言葉に「美しいものが美しい」がある。「用の美」を讃える言葉として語られたのではないかと思う。美しく機能的で、職人の手仕事を感じさせる質感というか、時間まで住みついているような存在感。ひとつ一つが、当時の暮らし方のカタチになっている。

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縞模様の見本帳
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民芸運動の旗手、柳宗悦


手仕事の持つ手触り感、温かさが、展示品から伝わってくる。職人たちが腕を凌ぎ、競い合っていた良い時代があったのだ。私たちが失ってしまったものはなんだろうと、「用の美」が問いかけてくるようだった。

コメント

6800点… 本当にびっくりの数です。
維持するのも大変でしょうか。

A)
何度か通って、沢山の「用の美」に出会いたいです。
心落ち着く民芸館ですよ。
庭の花も。季節ごとに変わるのでしょうね。

2025年7月20日 12:16 | ゆみゆみ

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