2025年10月

リンドウ


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リンドウを見ると、花言葉を思い浮かべる。「あなたの哀しみに寄り添いたい」。そんな思い込めて、そっと届けたい秋の花だ。

リンドウは、開花しない花だと思っていたら開花する種類もある。山には、春、地表からわずかに顔を出して咲くハルリンドウがある。小さくて見逃すことが多いので、発見したときは嬉しいものだ。

ホトトギス


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一気に寒くなり、あの狂ったような暑さが嘘のように思う。夏と共に多くの花が終わっていったが、ホトトギスが咲き誇っている。この名は鳥のホトトギスの胸の模様に似ていることから命名された。

鳥の名前のついた花は他にもある。サギソウ、トキソウ、トリカブト、カラスウリ、ハクサンチドリ、ヒヨドリバナ。どれも想像して眺めると楽しい。

10月のトンボ


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トランプ大統領来日の影響で、四谷交差点で長い時間待たされていた。四つ角の信号待ちの人の数が増えていく。急いでいたので、抜け出して一つ離れた信号から渡ろうと決めた。

後ろに廻ると橋の欄干にトンボが止まっていた。喧噪が気にならないのか、もう弱っているのか、10月のトンボは翅を折りたたんで秋の光を浴びていた。

金木犀


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金木犀の芳香にアササンの足が止まる。横を向くと花をビッシリ付けている木があった。この香りをつくるために長い夏の暑さに耐え、ジッと冷え込む日を待っていたのだ。

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年に一度この季節の訪れを待って、自身の存在を知らせる金木犀。それに比べて半年近く、咲き続けて匂いを放っているこの白い花、マツリカの種類か。ここを通ると匂いが降ってくるようだ。足下には沢山の花が落ちている。

香りは一瞬がいい、と思うのである。

自然教育園


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山の手線内に、こんな素晴らしい公園があること、知らなかった。目黒駅からすぐの自然教育園は、まさに都会のオアシス。6万坪の敷地内を散策すると、さまざまな木々や季節の花、そこにやってくる虫や鳥たちを観察することができる。

この日は、カワセミに出会うことができた。その美しく可愛らしい所作を見ていると、幸運をもらったような気持ちになる。止まった枝は、人工的に立てられているので、多くの人が出会っているはずだ。

鳥や昆虫のカメラマンさん達とも沢山話ができて、有意義な日を過ごすことができた。

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アキノウナギツカミ
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お茶の花
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カリガネソウ

親子熊のこと


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翅がボロボロになっている。クロアゲハだろうか。アザミの花に停まって少ない蜜を吸っている。すでに10月だというのに、まだ生息している。

一昨日、里に下りて来た熊の親子の映像が流れていた。なんと親の後を四頭の子熊が追いかけている。右へ行けば右へ、左のヤブの中に入ると四頭が続いて、いなくなった。

四頭も生まれることがあるのだろうか。しかし同じ大きさの子たちだった。自然界の生き物は、縄張りをもっていて、侵入者が現れると厳しく追い出す。

親子は、エサを得られずに山から里へ下りて来たのだろうか。親を必死に追いかける小熊たちが哀れだった。腹を空かした四頭を連れて、あの後どこへ行ったのだろう。

空腹のままでは、冬を越えられないはずだ。この冬、あの熊たちのことを思い出すに違いない。

雨の吟行②


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五位鷺(ごいさぎ)初めて見ました

公園を歩いた後のランチタイムはイタリアンで。お腹が一杯になると、睡魔が襲って、創作意欲が萎えてしまいます。というわけで、会場の角川庭園まで10分ほど歩いて、戦闘モードになってもらいます。

歌の提出時刻が決まると、集中。心に止めた景色や一瞬、広がる思いなど、言葉を探しながらの旅を楽しみ(苦しみ)ます。

雨を詠んだ歌をご紹介します。

雨  傘をたたく
小川  ゆるく流れる
ここは水の星
遠くでかすかに
ひとの声      Oさん

善福寺
池の面の雨の紋
そう  これは
井草の宮の
大正硝子の窓の紋  Sさん

十月の
雨まとわせて
木々は佇む
内にゆかしい
彩りをたたえて   Uさん

小生の一首は・・・

不意に が
好き
後ろからの目隠し
曇りの日の初雪
隠れんぼの金木犀

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途中、白い萩が散っていました
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ギンモクセイも咲いていた

雨の吟行


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土曜日の吟行歌会は、生憎の雨。ところが井草八幡宮の参道を抜けて善福寺公園に出ると、普段見られないような景色が現れた。人の姿がほとんどない、雲が低いことで池を中心とした景色が、カメラを覗いているような大きくない画角に収まっている。

小糠雨も悪くない。芙蓉やコウホネ、金木犀の花、水鳥たちが雨粒を受けてじっとしている。蜘蛛を撮ると、その細い足にまで滴がある。遠くに聞こえる小さな音が、より静けさを醸しだす。

滅多に出会えない雨の公園。みんなはどんな歌を編みだすのだろう。

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ツツジの植込みの蜘蛛の巣には

儚きもの


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命の少ないものに、儚さを感じる。例えばカゲロウ。カゲロウの命は、数時間から数日くらいで、口は退化してない。許されるのは生殖活動だけだ。さらに短命なのがウミユスリカ(蚊の仲間)は一時間。生物で最も短い命。

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花も一日花とされている種類がある。アサガオやカラスウリ、そしてムクゲ。こんな歌を詠んでいた。

しめやかに
一生の一日(ひとひ)を閉じて    
ムクゲ
蕾となって
ほろりと転がる

蕾に戻って
落花する
木槿       
空と一日遊んで
空の夢みる

ムクゲから金木犀に心変わりする季節になった。明日は吟行歌会。

ネーミング


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こんな商品があると、クスッと笑って、土産話になるので購入することにしている。この写真は、春に福岡空港で見つけたデジタルサイネージの広告。じつに分かりやすい表現だ。

この「むかん」で思い出したシャレたお土産がいくつかある。たくあん用の糠の袋には「ぬかよろこび」。酒のツマミなのか、乾燥小魚と細かな野菜が入った袋には「海千山千」。なるほど、なにかあっても、正直に述べているのだから誰も文句はいわないだろう。

このむかんを頭に乗せて「無冠の帝王」なんて、受けないだろうか。



中秋の名月


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それもスーパームーンだそうで、昨夜は信号待ちで、雲間から美しい◯が見えて、息をのんだ。回りの雲まで明るくしている。追われるように過ごしていると、こんな一瞬に心が洗われる。

山の風景


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伐採された山肌を登っていくような怪しい幟・・・水木しげるの漫画に出てくるキャラクター、一反木綿みたいだ。じつはこれ、鹿からヒノキやクヌギの苗木を守るポリエチレン性の白いカバーだ。

いま日本中、鹿が増えすぎて、山の植物の食害が後を立たない。日本の人口は減っているが、鹿だけではなく熊やイノシシなどの野生動物が、数を増やしている。山の保全を守るために、こうした地味な植林活動が進められている。

温暖化、過疎化が影響しているのか、人間と動物たちの境界線が難しくなっている。

越冬


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秋になると、蝶の羽が痛々しい。とくに成虫のまま越冬するタテハチョウやシジミチョウなどは、晩秋まで花に集まっている。やがて枯れ葉や枯れ草、木の洞などに集まってジッと冬を越す。

曼珠沙華


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曼珠沙華が好き、と云う人は少ないかもしれない。ポツポツと咲き始めると秋を強く感じるけれど、花の枠を超えているような存在感。それは彼岸花、死人花の名前からも来ているのだろう。

光を放っているような朱色は、辺りの静寂を破るようなインパクトがある。

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