2024年7月

涼む


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どこに行けば、涼しくなるのだろうと、撮り溜めた写真を眺めていたら、水族館の魚たちが現れた。水の中は非日常の世界。泳いでいる姿を眺めていると、人間であること、そして時間を忘れてしまう。

特等席に座って、静かな音楽を聴きながら、魚たちの優美な泳ぎを観ていたい。

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連歌


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主催者の思いが伝わるインパク!


日本もパリも熱い!寝不足とこの暑さでフラフラしながら歩いていると、あるビルの玄関前に張られているポスターに、???・・・ 
「photo連歌」の文字が気になって、小さな文字を読んでみる。

一枚目の写真を受けて別の作者が二枚目を撮影する。ほ〜、面白そうじゃないか。
涼みと興味を求めて、五階の会場へ向う。和歌のように、上の句を受けて下の句でお互いを詠みあう形式だな。

それほど広くない会場に、二つ作品がセットされている。なるほど、作者二人の写真のやりとりを、受けては自由に想像して楽しむ。面白い。皆さん、恋歌のように優しい。でもどうなのだ。もっと格闘していいのではないか。みんなまとめようとする意識が強いように感じた。

受付の方に、この企画についていろいろ聞いて、感想を伝えた。試みとして、とても面白いので、ぜひ続けてほしいと結んで。

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K2


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冬の赤岳


東京はこんなに暑いというのに、標高七千mはマイナス40度ぐらいだろうか。二人の日本人登山家、平出和也氏と中島健朗氏が、パキスタンのK2未踏峰ルートで滑落したというニュースが流れた。

二人は世界的なトップクラスの登山家。インスタやテレビで、その人柄とその活躍ぶりを知っていたので、気持ちが落ち込んでしまっている。この一ヵ月、ずっとK2の二人のことを気にかけていたので、ショックが大きい。

なにが原因かは、まだ分かっていない。天候か、何らかのアクシデントか、それとも二人の技術力を持ってしてもK2の西壁は、やはり難関だったのか。

二人の位置は、容易に近づけない難しい箇所だという。捜索を見守りたい。

感染より観戦


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外に出ると、熱中症ばかりかコロナ感染の心配があるということで、週末は、大人しくオリンピックの開会式を観戦しようと決めた。

・・・冷えてます


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ふと、懐かしい広告を思い出した


昨年の新潟の雨不足を心配していたら、なんと秋田、山形に大雨が降り続き、河川の幾つかが氾濫しているという。

酒田、遊佐、由利本荘とかつて訪れた町名が挙がると、こころ穏やかではいられない。憧れの鳥海山を登ったときの記憶と町の景色、それはセットになっている。

猛暑、雷雨、大雨、この夏はお天気に振り回されている。カレンダーを見ると後二ヵ月は、耐えなくてはならない(だろう)。ため息が、出てしまう。

愉しみは、ビール。これに尽きる。

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風と川音とビール〜


川音


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気候変動が、誰の目にもはっきりしてきて、具体的な未来予測は出ていない。でも「地球はこのままだと後30年です」と発表されたら世界は、人は、変わるのだろうか。

そんなことを思いながら、朝、聴いているのは、川の流れのCD。虫や鳥の声が遠くに聴こえる上流から、約一時間かけて、水は波打ち寄せる浜辺に辿り着く。

暑さが増した頃からほぼ毎日、聴いていると、心の温度も下がっていくような感覚がある。都会の中で便利を享受していると、外に向けるべき感覚が閉じ込められている。

作家の椎名誠は、風の中にいることがもっとも幸せなこと、と云っていた。心も身体も、ハコの中に置いてしまってはいけない。

野球観戦


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ちびっ子のマスコットガールが踊る〜


後楽園ドームでの観戦は久しぶりで、ネット裏からは初体験。こんな素晴らしい席に招待してくれたのは、五行歌仲間のIさん。試合前のアトラクションが、実に多く、マスコットガールやキャラクターの踊り、始球式、選手紹介などが終わって、プレイボールとなる。すると外野席から直ぐに応援が始まる(喧しい〜)。

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Iさんとは、今まで横浜、神宮球場に出向いて、ベイスターズを応援して来たが、負けるか、雨が降るか、いい結果になることが少なかった。この日も、読売に押されて、早々に負けが決まった。大リーグで活躍している今永投手が残っていれば〜の、愚痴がつい出てしまう。

今週末から、深夜にパリ・オリンピック、朝方は大リーグ、そして甲子園、涼しいところで熱くなりましょう。

茶臼岳(1935m)


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花はオンタデばかり


三日目、帰りの日に晴れた。一つは登ろうとなって、那須の茶臼岳を選ぶ。途中までロープウェイを使えるので、お昼頃には山頂までいけるはずだ。雲海を下に眺めながら、ガレている斜面登っていく。花はオンタデばかりだ。

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右手にかつて登った朝日岳が現れた

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岩場を登っていると、北アルプスを登っているような高度感がある。空気も少し薄くなっている。一歩一歩、息を切らしながら、整えながら、久しく忘れていた山登りを実感する。約一時間で、茶臼の山頂に到着。

雲海の間から時おり、地上が見える。この達成感があるから、止められない。

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ようやく晴れた〜

雨天結構(2)


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クガイソウ、オカトラノオ、シモツケのお花畑


とは、云ったものの、雨にこれだけ降られるとは思わなかった。自称晴れ男は、今回は雨に祟られた。おまけに登山口に向って、車を走らせて後わずかのところで、通行禁止の看板。モチベーションがポキリと折れ、田代山は遠くに離れていった。今回は諦めよう。

ということで、前日に訪れた日光のキスゲ平の花たちを紹介。人は雨を嘆くが、花たちは、きっと大歓迎なのだろう。恵みの雨を受け入れているかのようだった。

雨の花たちも、それはそれで風情がある。こんな風景を心のどこかに残しておこう。しっとりと覚えているかもしれない。

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クガイソウ
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クルマユリ
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ニッコウキスゲ
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コバギボウシ
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ヤマブキショウマ
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キオン?

雨天結構〜


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叔母の庭に咲いていたカモミール

今日、仕事の提案が一つ終わった。外は雨だけど、爽快感に溢れている。力を出し切ったからか。受かっても落ちても、悔いなし。
週明け、友人と田代山に向う。雨天結構!を合い言葉にしているが、やはりお天気であってほしい。

叔母からの手紙


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ある時、叔母を訪ねたら、庭仕事の最中だった


妹にお願いしていた記念歌集「麹」が、北海道の叔母の手元に渡り、その感想が手紙になって届いた。花好きの叔母とは、あるときから気が合い、帰るたびに訪ねていた。小さな庭はイングリッシュガーデンのようで、お茶を飲みながら話をしているると時間を忘れた。

彼女は短歌を嗜む人で、今も北海道新聞に投稿を重ねている。「あの歌いいわね」と誉められた歌が

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なかなかお目が高い、と云ったらなんて言うだろうか。ふとこんな言葉を思い出した。「ヤマブキは散っても、萼が可愛いでしょ、だからしばらくはそのままにしているの」

アササンでそんなヤマブキを見ると、つい叔母を思い出してしまう。

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ヤマブキの萼は、花のようだ

吟行歌会(夏)


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この暑い中、吟行するのは危険。ということで夏は、涼しい美術館や博物館で展示作品を眺めて、歌を詠むことにしている。先週末、東京都写真美術館に集合し「時間旅行」と「にっぽんの里山」という企画展を鑑賞した。

それぞれ「空間」「時間」ということで、頭を整理して二首を詠まなければならない。「時間旅行」からおもしろい歌がいくつか詠まれた。

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だぶついたブラウスに
長めのスカート
皆同じ制服にガスマスク
一番きれいな時の
女学生の行進

これは、Kさん(一席)の作品。誰もがこの前で足を止めたに違いない。この写真の怖さは、少女たちのガスマスクにもあるが、その背景にある禍々しさが、不気味でならないのである。何の為の行進か、なぜガスマスクなのか。1936年に撮られた写真だから、この後の東京大空襲で女学生の多くが亡くなったかもしれない。

茨木のり子の「わたしが一番きれいだったとき」を想起させた。作者は、女性の観点で詠まれた。前三行は、その不気味さを伝え、やり切れなさへと繫げている。

あまやかな
ピントが映しだす
その時代に
クッキリとした
日本人がいた

これは小生の歌。古い写真ほど、露出の関係でピンが緩くなる。いまほど難しい時代背景ではなかったからか、人々の表情は、どれもクッキリしているように感じた。

帽子


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靴磨きが帽子を被って、客は無帽だ

東京都写真美術館の「時間旅行」という企画展で、日本の百年の風景を紹介していた。緩いピントの向こうに見える風景や人物のモノトーン写真にノスタルジーを感じてしまうのはいつものこと。消えていった文化や風物に、哀惜の思いが重なる。

消えていったものに、男の帽子がある。明治以降、帽子はたしなみであり、地位のシンボルの一つでもあった。問屋の丁稚や手代はハンチングと決まっていたし、サラリーマンはソフトを被っていた。

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モボ、モガがカンカン帽を被ってる

昭和に入ってからも帽子は続いたが、世界的な風潮に押されて、ソフトを被る人が消えていった。それは中流階層の台頭と重なった。外を歩く習慣も少なくなり、高温多湿の夏には向かないことで、パナマ帽やカンカン帽に変っていった。

ヤブカンゾウ


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暑い〜〜34度?のなか、この花を見て「破かんぞー」の文字が走った。脳みそが沸騰しそう。このくらいの気温、平気だったはずが、すっかり弱くなった。

四谷の土手にヤブカンゾウが一輪、咲いていた。近似種にはニッコウキスゲがある。今ごろの尾瀬は、さぞ涼しいことだろう。ニッコウキスゲは、鹿にすっかり食い荒らされて、今や見る影もないとか。

都会ではビルが立ち並び、山の花々が消えていく。ポツンと咲いている、こんな花に思いが広がる。

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稜線に笠ヶ岳山荘が見える/2015年7月

剪定


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雨で順延になっていた剪定が始まった。庭の照葉樹の枝が次々に落とされて、室内が明るくなってゆく。とても気持ちがいいのだが、反対側のマンションからも見られてしまうので、ちと恥ずかしい思いもある。

ときおり作業をしている人の声が聞こえてくる。
「これ、お借りします」「どうぞ」
「すいません、大きいのを落としました」「大丈夫です」
声の感じから、師弟に近い二人、若しくは違う業者が入っているのかな、と思ったり・・・

聞き慣れた現場言葉ではなく、気遣いのあるやり取りから、とても丁寧に作業をしている印象があって、なにか心地がいい。二人のやりとりはそんな感じで続いていった。

美しい言葉などというものはない。 言葉が美しくなるのだ。
詩人、田村隆一の言葉を思い出した。

もらい泣き


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縁があるのか、再びのスタンウエイ


そのコンサートのアンコールでもらい泣きをした。「飛澤直子追悼コンサート」。ご本人である直子さんが4月に急逝され、プログラムが変った。ご主人の飛澤浩人さんのヴィオラ、娘さんの絵芽さんはヴァイオリン、そしてご友人お二人がピアノというアンサンブルで、直子さんが愛した音楽世界を奏でた。

絵芽さんはまだ芸大高校の2年生だが、すべての曲に思いを込めて弾いていた。この日のスタインウエイは、お二人の弦楽器を立てていたのか、軽やかだった。プログラムが終わり、アンコール曲は親子での奏楽、モーツァルトを選んだ。直子さんに届けようと二人の音はメッセージを帯びていた。

終わった瞬間、絵芽さんが堪えきれずに泣いた。拍手が響き渡った。亡くなられてまだ二ヵ月も経っていないのだ。笑っては泣いて、そして笑おうとしていた。

よく頑張ったねと、父は娘を優しく見つめていた。ドラマを観ているようなシーンに感動し、お二人に無言のエールを送った。希望が溢れるようないいコンサートだった。

スマホ


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いただいた枝豆、切り落とす幸せ〜

スマホのない時間を体験してしまった。先週金曜日の大雨、小止みになったのを確認して事務所を出ると、再びの雨。やれやれと電車に乗って、忘れたことに気がついた。雨のなか、戻るのもシンドイので、そのまま帰宅した。

あるべきもの無いというのは、心許ないもの。土曜日に予定が一つあったので、もしかしたらなどと心配して、少し落ち着かなかった。

がしかし、あるとき連絡ができなくなる日が、突然来るかもしれない。こうした時間にこそ、想像を広げて覚悟と準備をしておかねばと思うのだった。