2025年7月

八月


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昭和20年5月18日、出撃30分前の笑顔である。神風特攻隊と呼ばれた「第53振武(しんぶ)隊」。写真を眺めていると、涙ぐんでしまう。なぜ彼らは、死なねばならなかったのか、戦争という不条理、不合理を嘆く。

大切な人がいて、夢があって、それをきっと毎夜、語り合っただろう。なのに命を散らせる前にこんな清々しい笑顔でいられたのか。私たちは、彼らの夢を叶えているだろうか。

多くの人が戦争を語る夏
もっと語ろう
いつも語ろう
死者はその無念を
語れない

Sさんの歌である。

西瓜


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西瓜は、夏を喰らう、に一番相応しい果物だろう。サクサクと音を立てて、汁が滴るのをいとわず、一気呵成に喰う。それが西瓜の喰い方ではないかと思う。

じつは西瓜の画像が必要になり、スーパーの果物売り場でポンポンと叩いてから購入。切り口に種がありますようにと念じて庖丁を入れると、一気に匂いが広がった。

真っ二つに切れば
赤い天球儀
種は
星座か
夏の大三角

あの夏
母の
叩いてた
西瓜の
ポンポン

水不足


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この暑さのなか、水不足が心配されはじめた。「渇水情報連絡室」が国交省に設置され、全国のダムの貯水率をチェックし、今後節水を呼びかけていく。

空梅雨と読んでもいいくらい雨が降らなかった。そして梅雨明け。台風がなんとか列島を潤してくれるのではと期待している人がきっといるはずだ。

不思議なビル


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雲が一つ、近づいてきた


新宿西口に不思議な高層ビルがある。壁面の最上階部分が、ぼやけているように見える。初めはそこに雲がかかっているのかなと思った。とくに曇の低い日は、ルネ・マグリットのような絵画的な雰囲気を空に創る。なぜブラシで吹いたのような施しにしたのか、意図が分からず、眺めている。

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空の高さを感じさせたかったのかな

酷暑


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朝、ベランダの観葉植物にトンボが止まっていた。暑さに参って、休んでいるのだろうか。シャッター音が聞こえているはずなのに、逃げようとしない。

故郷の札幌は35度を超えて、弟のFBを見ると目眩がするとあった。長期予報では9月まで平均気温を上回るらしい。果たして乗り越えられるのだろうか・・・。

松本民芸館


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いつかいつかと思っているうちに、時間はずいぶん経ってしまう。登山中心にいつも予定を組んでいたので、松本の街外れにある小さな民芸館を隅に追いやったままになっていた。

雑木林の中に佇むナマコ壁の蔵造りの建物が、癒しの空間を創りだしていた。工芸作家であり蒐集家である丸山太郎氏が、名もなき職人の手仕事の日常品と土地・建物を松本市に寄付したことでこの民芸館は誕生した。

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柳宗悦の提唱した民芸運動に共鳴した人で、そのコレクションは6800点にも及ぶ。箪笥や陶芸品、染織物など日本全土だけでなくアジア周辺の品も展示されている。

丸山氏の言葉に「美しいものが美しい」がある。「用の美」を讃える言葉として語られたのではないかと思う。美しく機能的で、職人の手仕事を感じさせる質感というか、時間まで住みついているような存在感。ひとつ一つが、当時の暮らし方のカタチになっている。

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縞模様の見本帳
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民芸運動の旗手、柳宗悦


手仕事の持つ手触り感、温かさが、展示品から伝わってくる。職人たちが腕を凌ぎ、競い合っていた良い時代があったのだ。私たちが失ってしまったものはなんだろうと、「用の美」が問いかけてくるようだった。

スイテキ〜


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早起きして、こんな時間を楽しんだ。写真をクリックして拡大して見てほしい。笹の葉に付いている水滴の一つが、いかに小さいかが分かる。

この一粒こそ最初に産声を上げた水滴。ミクロの水は、隣りの一つと融合する。それを繰り返し、やがてレンズのような大きさになる。

光と風が、その動きをつくっている。水滴は笹の葉を滑るように落ち、大地に染み込み、大河の一滴となってゆく。

なんとスイテキ〜なこと!


美ヶ原(3)


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鹿が嫌う花がある。オレンジ色のコウリンカ(和名で「紅輪花」)。毒があるのだろうか。アチコチに咲いていた。他にもウツボグサ、シャクナゲ、レンゲツツジ、クリンソウも鹿は食べないそうだ。五月、鬼怒川で見たクリンソウは群生していた。

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こちらは虫たちが好むノアザミ

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ハナチダケサシ

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イワキンバイ
                                                                                

美ヶ原(2)


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エゾカワラナデシコ


早起きして、朝露のお花畑を歩く。光はまだ柔らかく、露に濡れた花たちはイキイキしている。ゆっくり見ていると、慌ただしい地上の喧噪はどこへやら。花たちは何を語りかけてくるのだろう。

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ウスユキソウ

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いまや希少種、ニッコウキスゲ

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朝のフウロは萎んだまま

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キバナノヤマオダマキ

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ウツボグサ

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テガタチドリ(手の形をしたチドリ?)

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美ヶ原


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朝4時に起床してご来光を


広い大地でありながら、標高二千メートルに広がる美ヶ原は百名山のひとつ。涼しくて楽チンな花の名山ということで、久しぶりに訪れました。

日本中、鹿の食害で多くの高山植物が失われていて、とくにニッコウキスゲは大好物。尾瀬のキスゲは、ほとんど食べ尽され、見る陰もありません。美ヶ原も同じで、お花が見られるのは、電気柵の保護区の中だけというのが現状です。

狩猟者の減少、温暖化、耕作放棄地の増加、天敵がいないというのも増加の原因です。電気柵の中でなければ、生き残れない花たちを眺めていると、なにか人間が冒してきた所業を見ているようで、複雑な気持ちになるのでした。

お花の紹介は、来週に。

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夕方のワインタイム、涼しいを超えていた

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部屋からの景色

ムクゲ


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ムクゲの花が咲きはじめた。一日花なので、咲き終わると縮んで夕方には落花していく。けれど開花期間は長い。ここのムクゲも8月末までは咲いているはずだ。

さて、ネコ達はどこで昼寝しているのかなと探していたら、三味線の音が流れてきた。まあなんという風情でしょう。路地がますます路地らしくなった午後でした。

777


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今日は、7が3つ並ぶ日と聞いていたので、ちょっと遊んでみました。7が3つでどんなラッキーがあるのだろうかと期待していたら、ナナ ナナ ナナんと、東京は35度を超えたそうです。

この暑さは地球上どこでもらしく、極地に誓いほど温度変化は大きく、不安は増しています。火山の噴火、地震も重なって、聞こえてくる選挙カーの声が、いま一つ現実と重なってこないのはいつもと同じ。

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少しでも涼しくなれば・・・

夏風邪


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Photo by Kawahara Yuu


油断をしていたわけではないのですが、風邪をひいてしまいました。喉が痛くなり、近くのクリニックへ。まあなんと処方箋に書かれている薬の多いこと。

暑いなかを歩くのが辛いです。スペインでは46度、イギリスもフランスも警報級の暑さとか。これから本格的な夏到来。どうなるのでしょう。