2014年7月

オオシオカラトンボ


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今日も暑い。ムシムシの日だから、今日も虫。また洒落かよ〜の声を無視して・・・オオシオカラトンボの登場。「オオ」が付くので、シオカラトンボよりやや大きめ。全身が青く、尾の部分が太い。顔が黒いのも特長の一つ。
子供の頃は、赤トンボより偉くて、ギンヤンマより位はやや下。そんな位置づけのトンボだった。沼なんかで観察していると、他のトンボを追い回していたが、テリトリーを守る行動と知ったのは、ずっと後になってから。ホバリングしながら水面をノックするように産卵する姿が目に浮かんでくる。


ミカドアゲハ(帝揚羽)→アカボシゴマダラ


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初めて見たのかもしれない。アサギマダラかなと思ったが、羽の色合いが違うし、舞う姿に優雅さがない。傍にいた女性が、たぶんミカドアゲハではないかと言う。石に止まって、石灰質分を吸い上げているのだろうか。まるで石を舐めているように、黄色の口吻を頻繁に動かしている。
調べてみると「日本国内では対馬および屋久島以南の島嶼、九州全域と香川県を除く四国、本州の一部(山口県内、広島市内、紀伊半島南端)の西日本地域に生息する」とある。つまり南の蝶なのだ。


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気温36度越えの日に現れるとは・・・・温暖化に繋がっていくのだ・・・。


友人のTさんから、これは「アカボシゴマダラ」ですとメールがあった。
え〜、調べてみると、たしかにミカドアゲハに似ているが、間違いなくアカボシゴマダラだ。
じっくり調べてみなくてはならない・・・反省〜


少年の夏


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少年は、どんな生き物をリリースしたのだろう。ずっと流れを見つめている。放した生き物が岩陰に隠れたのだろうか。水鉄砲もそうだけど、子どもは夏休みにいろんな体験や発見をして、成長していく。それが将来、どんな役に立つのかは分からないけれど、記憶のどこかに収められていく。
大人になって、何かの拍子で記憶の扉が開いたとき、その想い出は穏やかに発光をはじめる。そしてもう一度、少年になる。


水鉄砲


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夏の水遊びはこれに限る。大人と子供が一緒になって作り、沢から汲んできた水を注入して、標的のペットボトルを狙う。チーム対抗戦だから、声が上がる、熱が入る。ここは高尾山の麓、日影沢のキャンプ場だ。東京都のボランティアグループが企画した「水生昆虫&水鉄砲」に40組の親子が参加した。気温がグ〜ンと上がった昨日、一日体力がもつだろうかと不安を抱えて、取材した。


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この世代の大人たちは、水鉄砲を作ったことがあるのだろうかと思いながら、アドバイスを我慢して大人しく観察していた。なんせ、子供の頃、遊び道具といえば、ほとんど自分たちでつくっていた。水鉄砲、豆鉄砲、パチンコ、手裏剣・・・。水鉄砲以外では、誰かがよく怪我をして泣いていた。さまざまな工夫は、上の子から学び、伝承されていく。なんせ武器の精度が高い方が有利だから、真剣になるのだ。


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大人たちは、子供に水が勢い良く出る術を教える。出来上がったら、試し打ちをする。水の出が悪いと工夫を加えていく。そしていよいよ、子供対抗戦が始まる。大人たちの声援を受けて、大騒ぎだ。男子がやや多いAチームの2連勝。次に大人の対抗戦。これが面白かった。この企画は、大人のためにあるのでは!と思うほど、ヒートアップした。真剣な眼差しで声をあげて狙う。外れる。しゃがむ。子どもから叱咤される。やはり、水を押し出すパワーが違う。ペットボトルが次々に倒れて、歓声が上がる。勝敗が決まる。


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フィナーレは、子ども対大人だ。「大人になんか負けるもんか!」1回戦は大差で負けたが、ハンデを貰った二回戦目は、子供たちが勝った。皆、大喜びだ。知らない子同士が、ハイタッチをしてる。良かったね!


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ショウジョウソウ(猩々草)


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この花なに?と、権師匠に聞くと、花じゃないよ「ショウジョウソウ」です。
じっくり見ると、ホントだ。鮮やかなオレンジは、葉っぱの色だ。漢字では「猩々草」。調べると「ショウジョウとは古代中国で創られた空想上の獣で、赤く長い髪をしたお酒の好きの猿に似た生き物」とある。お墓の近くに咲いていたので、なぜかドキリとした。ポインセチアの仲間なので、誰がつけたか別名「サマーポインセチア」。こぼれ種でも発芽する丈夫な植物なのだ。

蕾らしきところに止まっているのは、ショウジョウバエ!? 
ではありません。



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蓮は不思議な花だ。水中からひょろりと細い茎を伸ばして大きな花をつける。それも爽やかなピンク。早朝にパッと開く。花を楽しめるのは、せいぜい9時くらいまでで、午前中にはほとんど萎んでしまう。花のピンクと葉のグリーンは、美しいハーモニーを奏でる。自然界には、不似合いな色の組み合わせはないよと、教えてくれる。

蓮の花の命は短いから、その美しさは迸るようで、儚げだ。花は三日間開閉を繰り返し、四日目の午後には全ての花弁が散ってしまう。以前、古代蓮を見ていたら係の人が教えてくれた。


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花托の形状が蜂の巣に似ているので「はす」という設がある




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埼玉県原市沼の古代蓮


「男子、女子」「彼、彼女」


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↑写真をクリックするとシャボン玉をしている女の子がいます


懐かしい風景を見ているようだった。ギターをもっている子がいる。中学生だろうか。笑ったり、お喋りをしたり・・・好いなあ。もう半世紀も前になるのか・・・「男子、女子」「彼、彼女」なんて言葉を初めて知って、使ったあの頃。週末になると公園や野山にクラスの男女が集って、歌を歌ったりゲーム(ハンカチ落とし、だるまさんがころんだ・・・)して遊んだ。
夢や悩み、背伸びや芽生えなんかを少し抱えて、時間を忘れて一緒にいた。どんな話をしたか覚えてはいないけれど、女子は白いブラウスに長い制服のスカートで、芝の上を駈けていた・・・。

彼らを見て思う。広い森の中で皆といれば、ケータイなんて必要がないぞ〜。


第四回ORMAC/西沢渓谷



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先週末、ORMACのメンバー6人と山梨県北部に位置する「西沢渓谷」を歩いた。ここが素晴らしいのは、国内屈指の渓谷美を誇り、約10キロの山道にはハイキングコースが設けられていることだ。暑い夏の山歩きには相応しいと決めたのだが、心配なのはお天気。だが今回もお天気運は、吉と出た。わずかの通り雨はあったが、爽快なハイキングを楽しむことができた。

西沢渓谷は、あらゆる「百選」をもっている。「21世紀に残したい日本の自然100選」「平成の名水百選」「森林浴の森100選」「水源の森100選」「新日本観光地100選」「日本の滝100選」など、例えるならば、渓谷界の浅田次郎といったところか。さて、来月はどこへ行こう!?

アルプスへの夢は、続く・・・。


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こんな道や


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こんな道


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そしてこんな道が続いて


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写真:野間氏提供


盛り上がったのでした〜〜♬


カブトエビ


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久々に権師匠から季節の写真が届いた。田んぼに生息するカブトエビだ。
ウィキペディアにはこうある。

日本国内ではヨーロッパ、アジア、アメリカカブトエビの3種が生息している。アジアカブトエビは在来種と考えられるが、残りの2種はいずれも移入種で、1916年香川県でアメリカカブトエビが発見され、その後各地で発見されている。関東・中部地方以西に広く分布している。

日本では6-7月、水田などに大量発生する。水田への注水後10時間程度で孵化が始まり6日程度継続して孵化する、孵化から10日程度で産卵を行い 1-2ヶ月の短い一生を終えるが、成長速度と生存期間は水温で大きく変化する。


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顔が可愛い〜ムツゴロウにも似ている・・・


水田の水抜きで水が枯れる頃には泥中に卵が残っている。他の地域では頻繁に干上がるような浅い水たまりや池に生息することが多く、乾燥に強い耐久卵を持ち、水田の様な環境に適応したものと考えられる。大きさは 2-3cm で、頭部の形状はカブトガニに似ている。丸い背甲の裏面に多くの脚を持つ。いずれも鰭状の鰓脚で、歩行に適した足は持たない。雑食性で、泥中の動植物の遺体の破片や小型藻類、プランクトンを泥と共に捕食する。

手抜きの週末なのだ〜〜〜


夏草


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桜で賑わっていた四谷の土手に、夏草たちの手が伸びる



先日の歌会で、夏草の伸びる様子を「わっしょい わっしょい」というオノマトペを使って表現された方がいた。夏草ばかりでなく、梅雨の間にどの植物もグイグイと成長する。畑をやっている友人が、雑草は抜いても抜いても切りがないと嘆く。

夏草といえば、幼い頃、背丈もある草むらを友達らと駆け回っていた。青草の匂いを嗅ぐと思わずあの頃にワープする。草の束二つを結んで転ぶように仕掛けたり、落とし穴をつくったり、なにか悪さをしていた。転ぶと、服に夏草の緑色が残って、母親に何か言われたような記憶がある。
「夏草や〜」で始まる句はきっと、多いに違いない・・・。



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日本には、夏の暑さをスッと逃がすようなアイデアがいくつもある。たとえば金魚鉢、すだれ・よしず、釣りしのぶ、風鈴、蚊取り線香など。そして、かき氷、ところてん、スイカ、素麵といった味覚からの涼しさ。五感の涼は、夏を乗り切る日本人の知恵だ。文化と風情を愉しみながら、ずっと昔からエコを実践していた。

水のそばにいくと、温度は一気に下がる。滝の下なんかにいると、涼しいを通りこして、肌寒くなるときがある。炎天下の日、この新宿西口公園の滝の前も冷やっとして、気持ちが良かった。滝をつくってから名称を決めたとのかどうか、分からないけれど、この滝「新宿ナイアガラの滝」という。

ニセコバンソウ(贋小判草)



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五月にオオバンソウを紹介したが、コバンソウという種類があって、これがそうだと思っていた。しかし、コバンソウはこんなにザクザクと小花をつけないよなあ〜はて?、と思って調べていたら、ニセコバンソウというのが出てきた。どうもこれらしい。

偽ねえ・・・ふと兵庫県の号泣議員を思い出した。ニセ、似せ、贋・・・昔から贋作というのはあるが、職業や肩書を語って商売しているワルも、日本には密かに生息している。まことにけしからん!と思うが、騙される方にも油断はある。例えば「肌が白くなる化粧品」。それって、危険でおかしいだろう〜。長持ちするツケまつげだって、なんか危ない匂いがするし・・・。

便利なモノ、心地よいモノには、つねに危険がはらんでいるのだ。食べても痩せられる、苦労しないで金持ちになれる・・・・
「世の中、そんなに甘くはありませんぜ〜」。ニセコバンソウは、そんなことを教えてくれる、貴重な植物なのかもしれない。



ちなみに、↓これがコバンソウ。

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都庁48階


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さて、台風が予想より早く北上したため、吟行場所の都庁48階から見えた眺望はこんな感じ。一日早ければ、この向こうに富士山がクッキリと見えたはずだ。展望室は初めてという参加者が大半だったから、地平線までの世界を見せてあげたかった〜、残念。今回のテーマは「東京大展望と西口公園散策」。360度、青い家並みが広がる一方、眼下の西口公園には、いまもブルーシートで暮らす人たちがいる。面白い歌が生まれるかもしれない、と企画したテーマだったが、いかんせんこの暑さ。炎天に下りていった人は、半分だった。
まあ、誰も熱中症にならなかったから、良かったとしよう。



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ワールドカップが終わった。明暗とは、まさにこんなことか!同じフィールドに勝者と敗者がいて、カメラは勝負の先に訪れた現実を遠慮なくとらえていた。たった一点。ワールドカップは、史上稀にみる素晴らしい決勝戦だった。偉大なる敗者、アルゼンチンを讃えたい。・・・やっと眠れる・・・

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台風一過


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肩すかしを喰らわすなんて、イケズ・・・・・・


超のつく台風8号が肩すかしを喰らわして、東北方面に消えていきました。東京は台風一過となり、みごとな青空。あ〜あ、このお天気、明日の吟行歌会に取っておきたかったなあ。きっと、伊豆七島から筑波山、富士山はもちろん、八ヶ岳方面まで見えたのではないか〜と早目の退散に悔しがっております。梅雨明したのでは!?と錯覚するような空ですが、関東甲信越は7月21日ごろと、予想がでていました。


超大型


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図書館前の小道で、アメリカフヨウに出会った。超大型の芙蓉でハイビスカスのような花をつけている。だが一日花なので、今見ている花は今日でお終い。萎んでポロリと落ちる。さて超大型といえば、もう間もなくやってくる台風も「チョウ」が付く大型だ。昔、裕次郎の曲に「風速40メートル」というのがあった。今回はそれを凌ぐ風速70メートルだ。裕次郎だって逃げだすに違いない。3年ほど前、八ヶ岳の山頂付近で、風速40メートルを体験したが、立っていられなかった。5人のパーティーだったが、歩き出すと二人が転がった。

温暖化の影響といわれ、超大型台風が今後ゾクゾク日本にも上陸するらしい。予測では風速90メートルも出現するとか!
それって、地球が牙をむいていると思うのだが・・・。


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風で倒れないだろうか・・・・


カメムシ


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雨の日は、取り溜めていた写真から・・・
嫌われる昆虫の代表格にゴキブリ、シロアリ、蚊、蝿などがあげられる。昆虫かどうか分からないが、ムカデ、ゲジゲジ、ヤスデとなると、嫌われ率はきっとそれ以上で、出来ることなら生涯対面したくないはず。インディ・ジョーンズのあの恐怖も、よく分かる・・・。

さて、カメムシはどうだろうか。たぶん臭わなければ、そんなに嫌われることはないはずだが、いかんせん敵と見るや、スカンクの如く臭気を発する。とにかく触れることは御法度なので、部屋に侵入したら、新聞紙やウチワなどの上に上手く乗せて、窓からポイ!これが双方にとっての平和的解決。武力を行使せずに、必要最小限の自衛で上手くおさめる。

さてカメムシの名前を地方ではどう呼ばれているか。これが、じつに面白い。ヘコキムシ、ヘッピリムシは、よく聞く。これはどうかな。クセンコ(青森県)、ドンベムシ(秋田県)、ジョロピン(新潟県)。そして面白いところでは、ヘクサクン、トモコチャン(長野県南部)、ジョンソン(兵庫県日本海側)、ヒメムシ、ヨメサンムシ(京都府丹後地方)。

何のことはない。カメムシ君は、愛されているのではないだろうか。


高校野球地方予選


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もうすぐ超大型の台風がやってくるらしいが、東京は久々に青空が広がった。青空、そして白い雲といえば、高校野球だ。新聞のスポーツ面には、地方予選の試合結果が掲載され始めた。一回戦の結果には、とんでもないスコアがある。例えば、35-0。10点以上の点差になるとコールドゲームとなり、試合は途中で決する。ただし試合は5イニングまで進まなくてはいけないので、こんな点差になるというわけだ。

この点差を見て思う。おいおい、こんなに取らなくても良いだろう。でもなあ〜選手は手抜きするわけにもいかないだろうし、監督も手を抜けとは言えないだろうなあ。強いチームは野球一筋で、弱いチームは進学校か。それとも部員が足りなくて、陸上部やサッカー部あたりから部員を調達したのかもしれない。そんな思いで見てしまうので、たまに32-1のスコアを見つけると、おう!よく1点を取った!きっと、ランナーがホームを踏んだ瞬間に、大声が上がったろうなあ〜なんて思う。
9−8や1−0で敗退していくチームもあって、数字からいろんなことが想像できる高校野球の地方予選が、全国の野球場を熱くしていく。


怖い想い出


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このカラスウリに包まれた家には、人が住んでいるのだ・・・


昨日の落語会で、入船亭扇辰の見世物小屋の話を聞いていたら、ふと記憶の翼が広がって、父との想い出が蘇った。糊のきいた浴衣を着せられた少年は、父の手をしっかり握って、屋台や見世物小屋の軒をビクビクしながら歩いていた。上を見上げると、極彩色豊かな看板には、妖しい蛇女や奇形動物が描かれ、まるで別世界に踏み込んでしまったと、錯覚し恐怖した。
だみ声は、中に入るよう盛んに催促をする。ときどき布がチラリと上がって蛇女が見えたり、小屋の中からはオ〜という声が上がったりした。きっとその日は、怖い夢を見てうなされたに違いない。
日本にまだ社会福祉が発達していなかった頃のエピソード。

扇辰の顔が時々誰かに似ていると思っていたら、ダウンタウンの松本人志だった。あ〜スッキリ!川谷卓三にも似ているかもしれない・・・。


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ツルには妖しげなオオカラスウリの花が咲いていた


小糠雨


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傘をさす人、気にせず歩く人。今日の雨は、小糠雨というのだろう。随分昔のこと、誰かから聞いたこの「こぬかあめ」を「来ぬか雨」と解釈して覚えていた。それも随分長い間・・・。「来るのか、来ないのかの雨を、来ぬか雨とは、なかなか乙な表現だ」と感心してインプットしていたから、それが「小糠雨」と知ったときには、静かに衝撃を受けた。
「コヌカ」・・・なんだ?それ!

「玄米を精白するとき、その表皮が細かく砕けてできる粉。ぬか」。
もしかしたら、まだ他にも、記憶違いをして覚えていることがあるのかもしれない。いつ記憶の箱から飛び出すことやら・・・。

それで、ひとつ思い出した。解説者(とくに野球)が時々「それが一番ベストです」なんて言っている。昔机を並べていた先輩から「ベストは一番。言葉が重なっている。それは変」。
そんなことまで思い出させた、今日の小糠雨である・・・。


はまなす


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白いハマナスの花を見つけた。ハーブ園の庭の片隅にひっそり咲いていた。少年の頃、北海道の夏の砂浜には、決まってハマナスが咲いていて、珍しくもなかった。あの頃の日本列島の海辺は、護岸工事なんかされていなくて、行けばいつでもセンチになれたし、バカヤローと海に向かって叫んでもおかしくない、それは正しい浜辺だった。

ハマナスといえば、北海道を拠点としていたグループサウンズ「ザ・キッパーズ 」が、「はまなすの恋」を歌っていた。たしか北海道のブルー・コメッツと呼ばれていた(いま思うと恥ずかしい)。彼らの歌は深夜番組で何度も流されて、恋に憧れをもちはじめた少年は、寂しげなハマナスの花をなんとか愛そうとした。


美瑛の丘


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風のガーデンを後にしてから、美瑛の丘に立った。遥か向こうに、大雪山系の山並みが見える。斜面には、わずかに残った雪。冬、あのてっぺんからこの畑の裾野まで、白一色に覆われるはずだ。15年ほど前の夏、層雲峡側から登り始めて、黒岳〜北海岳〜旭岳を縦走して旭岳温泉に下った。コースが長くて、このときもキツかった。朝早くに出発したのに、宿に辿り着いたときには、すっかり暗かった。途中の樹林帯では、熊が恐くて、声を出しながら歩いた。
しかし宿の温泉は、疲れたカラダを温め、食事(フレンチ)は驚くほど美味かった。そこのオーナーとは、今も賀状を交わしている。



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さて美瑛。ここはコマーシャル撮影で有名になり、観光客がどっと押し寄せるようになった。ケンとメリーの木、セブンスターの木、マイルドセブンの丘など、北海道らしい雄大な景観がアチコチにある。そして、パッチワークの丘には、ラベンダーの畑が続く。この日、アジアのアチコチから訪れた観光客が、ワイワイと記念撮影をしていた。なんでそんなに写真が好きなの!?


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なんだ〜ウィンブルドンカラーではないか


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しっかりVIしている。スクターまでラベンダー色



風のガーデン


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大天使ガブリエルか!?アチコチに置かれていてアクセントになっている


一度は訪れてみたいと思っていた、富良野の「風のガーデン」。ドラマで観た花々が、初夏の風に揺れていた。この広大なブリティッシュガーデンを造るために、上野さんという地元の若い女性ガーデナーが、二年の月日を費やしたそうだ。ドラマでは、緒形拳演じる貞造先生と孫の岳がせっせと庭づくりをしていたことを覚えている。


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ジキタリス、ルドベキア、そしてホタルブクロにソックリのカンパニュラ'ケントベル'。ドラマの花言葉では「天使ガブリエルのつぶやき」と紹介されていた。


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主人公の家に入ると、外の明るさが一瞬に消えて薄暗い。眼が慣れてくると、カーテンを揺らした風は、室内の家具を撫でていく。憧れの薪ストーブもあったりして、あ〜こんな所で暮らしたいなあ〜の思いが募る。自然とともにある暮らしのたしかさ。厳しいけれど、偽りのない暮らしのなかで、人は自然に見守られながら生きてゆけるのだろう。


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青年がカラマツの下で一人読書をしていた